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下戸の建てたる蔵もなし [慣用句]

「一日江戸人」杉浦日向子・新潮文庫

酒飲みの皆さん「下戸の建てたる蔵もなし」なんて言い訳しながら、飲んだくれていませんか? この言葉には続きがあるのです。

正式には「目出度やな、下戸の建てたる蔵もなし、上戸の建てたる蔵もなけれど」です。

つまり、酒を飲もうが飲むまいが、蔵なんか建つもんじゃないよと言うことです。蔵を建てることばっかり考えていると、酒のうまさもわからなくなってしまう、そんな感じですね。

こういうのを「庶民の品格」というのではないでしょうか。俺たちゃ庶民なんだから、酒を飲もうと飲むまいと、うまいものを食おうと食うまいと、どっちにしたって蔵なんか建たないんだから、楽しくやろうよ、ってなもんです。

ちなみにワタシは下戸です。蔵からは最も遠い人間かもしれません。


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コメント 2

稚女

会津の苦楽亭の実家にはかなり立派な蔵があります。
そういえば蔵があるのは当たり前の事で今まで何のためにみな蔵をたてなのか聴いた事なかったな。屋号は「やすべえ」で名前からして大酒飲みはいたようだが。又くらの中に隠れ部屋
があってそこの中に潜んでいたひともいたらしい。
戦後苦楽亭の母は密造酒作りの名人で作っては蔵のなかにかくしていたらしい。
今度田舎に行ったらくらの話しを聴いてこよう。
by 稚女 (2006-05-14 21:32) 

s-taka

お、稚女さん、コメントありがとうございます。

江戸では特に、火事対策ですね。保険のない時代、目塗りをして炎から財産を守った。だからこの都々逸も「蔵を建てるほど財産なんか持っちゃないし」という江戸っ子の生き様を表しています。「金は貯めるもんじゃない。飲むためにあるんだ」と。

ちなみに、火事と蔵を巡る落語では「鼠穴」という名作があります。立川談志の十八番。はっきり言って、泣けます。
by s-taka (2006-05-18 01:09) 

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