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魚屋の勝っつぁんが好き [落語]

~春風亭昇太プロデュース下北沢演芸祭2009~
立川志らく独演会「新たな『芝浜』」@シアター711 

スズナリの隣に新設された劇場。100席程度だが、元映画館らしくシートは良さそう……最後尾の段差に座布団を敷いた席だったので、あくまで想像ですが。

開口一番はらく太さんの「転失気(てんしき)」。おなじみの「知ったかぶり」の咄。らく太さんは愛嬌があるので、もっともっと良くなるはず。

志らく師匠が登場し、前半は「質問コーナー」。意外に力が入ってしまい、時間もおす。僕が書いた「会場の感想」の話題から、和式便所のネタで笑いがおきて嬉しい。ただ、休憩がなかったので、後半の落語に心の準備がなかなかうまくできなかった。

(僕が)ふわふわした気持ちのママ「新たな『芝浜』」。以前に「志らくのピン」、「下丸子」でやったものをさらに進めたもの。師匠は以前から、おかみさん=貞女という盲目的な図式に「ちょっと違うんじゃない」という疑問を投げかけている。師匠なりの試行錯誤が「新たな」古典落語を“作り出そう”としている。

(以下ネタバレ)
おかみさんが嘘をつく理由が「魚屋をやめるって言うから」。「お酒飲んでも、暴れても、借金しても良いから、魚屋の勝っつぁんが好き」だからというもの。「好き」という言葉をあまり何回も前面に出されるとちょっと引いてしまうので、以前のように「あたしは魚屋の女房になったのよ」があるとフレーズ的には好みかも。

嘘を告白する理由が「やけ酒を飲んでくれると思ったから」。理屈的にはわかるけれど、今日はすんなり入ってはこなかった。何が違うんだろう。

ちなみに、勝が採譜を拾ってきた事が、夢になってしまう理由が、「勝こう」のイリュージョン(ギャグ)なところはおもしろかった。時間を間違えて起こしたおかみさんを、芝から長屋まで(ワンピースみたいに)手を伸ばして殴りたい、とか、お金を数えてたらタコとかイカとか貝になった(おかみさんがお金を数えるのに「ちゅーちゅーたこかいな」とやるから)とか、「そんな事考えてる方がおかしい、夢に違いない」と勝は思ってしまう。メタフィクション的というか、イリュージョンというか。前回(ピンの時)の「海水でうがいするわけない」よりは好み。

「ちょっとアタマで考えすぎ」と言う意見はあるだろう。でもこういう試行錯誤の上に、後の名作が生まれるのだと信じている。そしてその課程を見届けられることは、CDやカセットテープの音源にはない、ライブの幸せだろう。
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